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長尾周二のヨーロッパ放浪記 に参加中!
最初の車はNISSANセレナ・ディーゼルでした。車の中を改造してベッドを作り寝泊まり出来る最低限の生活用品を積み展覧会が何処でも出来る様に作品と画材を満載して旅立ちました。

勿論アパートの家財道具は全て処分しました。それでも捨てられない作品や貴重品は弟や息子、友人宅に今でも預かって頂いて居ます。

日本での放浪は夏が来ると北に向かい冬は南で過しました。

冬、九州霧島韓国岳山麓で赤松を描いたときは氷点下10度以下でした。勿論水彩画は無理、鉛筆淡彩で仕上げました。零度前後は乾きが悪く滲んだりしますが氷点下10度と為るとエイと色を着けた瞬間に画面が凍ります。その筆もカチンカチンに凍り一人で大笑いでした。

春の便りが聞こえる頃は宮崎県か四国足摺岬に向かい桜の花を描きました。その後、開花を追いかけて北上します。
行きを三陸海岸にすれば帰りは日本海岸にしたり内陸部だったりで全国を巡りました。

特に北の大地は上川町や羽幌町等展覧会を企画して頂いたり作品制作に便宜を図って頂き感謝感謝でした。

利尻島の漁師ご夫妻は行くと泊まってけー飯食ってけーとお世話に為りました。東日本大震災の被災地も私が大好きな海岸の一つで何度となく回りました。

夏の終わり男鹿半島で台風の直撃に遭遇しました。風速40メートル以上の風が吹き荒れ一日半車が揺れ続け船酔い状態に為りました。
それでも10メートルは有ろうかと思える大浪を何枚か描きました。その後鳥海山で制作中過労で倒れ動けなく為りました。

日本海の初冬、雷を描きたいと松林の海岸に居た所、目の前に落雷が有りました。その衝撃たるや強烈で車は揺れ身体は飛ばされ頭の中まで真っ白い閃光が走りました。いや!雷は見に行く物では有りません。

車上生活で大変なのは冬です。身体が冷えると体力も消耗し病気に為ります。元旦、伊良湖岬で動けなくなり三日間寝込んで終いました。動ける様に為って病院に行くとこれ以上強い抗生物質は有りませんと肺炎の薬を処方して頂き一ヶ月半かかりやっと回復しました。
そんな厳しい冬が終わると楽しい風景や人との出逢いが有ります。

旅を続けて居て一番の楽しみは出逢いです。今はヨーロッパ各国を巡って居ますが思いは同じです。

1997年セレナを廃車してTOYOTAエステマを購入、横浜港から画材と生活用品を満載してイギリス、ロンドンに旅立ちです。

英語も片言しか話せません。何故あの時旅立ったのか今でも不思議な位です。
ヨーロッパでの最大のピンチはピレネー山脈での事故です。此所でも助けて頂いたのはヨーロッパの新しい友人達でした。片道1000キロを走り荷物共々救出、友人の大切さを染々と感じました。

その後ロンドンの二上さんからTOYOTAカリーナハッチバックを格安で譲り受け今年のトラブル迄走り続けました。
ワンボックスカーから普通乗用車に乗り替えた時は地獄の様でした。あの狭い車中で寝泊まり炊事洗濯と生活をしなければ為りません。其に勝る旅の楽しみや出逢いが有ったからこそ続けられたのだと思います。

その間19ヶ国140000キロ以上を回りました。
雪で動けなかったり、policeに連行され取り調べ室で尋問されたり色々な事が有りました。

11年目を迎える来年も旅は続きますがフランスに在住しながら国際作家として制作に励む所存です。今後も御支援宜しくお願い申し上げます。